正しく知って、楽しく生活

正しく知って、楽しく生活

Q&A

ぜんそく

Q1かりんとはちみつを混ぜて飲むような民間療法はいいのか。

市販されていますし、飲んでも害はないと思います。ただし、医師にぜんそくと診断されているのであれば、吸入薬などの医師から処方された薬をきちんと使用した方が良いと思います。体も楽になると思います。

Q2福井県がぜんそく入院数ワースト1となった原因は何でしょうか。

あくまでも健康保険診療のデータから解析された結果ですが、ぜんそく患者の増悪(発作)による入院、ぜんそくの増悪に対するステロイド注射薬の投与回数、あるいは経口ステロイド薬の短期間の大量投与の回数の3つの指標によって計算された年間、ぜんそく患者1人当たりの増悪回数は福井県が一番多いことが論文で発表されています。理由はわかりませんが、福井県ではぜんそく患者が悪化した時のステロイド注射薬の使用頻度が高いようです。

Q3せきぜんそくは普通のぜんそくと違うのですか。

せきぜんそくはぜんそくのなかの1つのタイプです。医師にとって診断が難しいのは、せきぜんそくは普通のぜんそく患者さんに一番特徴的な呼吸するときにゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)とよばれる音が聴診器で聴取できないのが特徴だからです。せきが出る病気はぜんそくの他にもたくさんあります。せきぜんそくであっても、ぜんそくの標準的な治療によってせきは通常軽快します。

Q4小さい頃からぜんそくがあり、大人になった今でもぜんそくがあります。これからはどのように付き合っていけばよいのでしょうか。

症状があること自体が異常だと思ってください。通常ぜんそくは標準的な治療を続けることによって、日常生活に支障をきたすような症状はなくなります。かかりつけの先生とよく相談して、最適な治療を受けてください。症状がある時だけ治療すればよいという考えは間違いです。

Q5おとなのぜんそく患者が、解熱剤を安易に使ってはいけない理由はなんですか?

正確な原因はわかっていませんが、おとなのぜんそく患者さんの1割くらいの患者さんは、熱をさげる解熱薬や痛みをとめる鎮痛薬をのむとぜんそく発作をおこします。座薬や注射はもちろん、貼り薬や塗り薬も危険です。ショックを起こして命を落とすことさえあることを知っていてください。このような患者さんは重症のぜんそく患者さんに多く、特に鼻茸がある人、嗅覚(におい)の低下している人、歯磨き粉でぜんそくが悪化する人は要注意です。ぜんそく発作のときに特効薬として使用する注射用のステロイド薬も逆に発作を悪化させることもありますので、医師にとっても注意が必要なのです。市販の薬だから安全ということは決してありません。かぜ薬にも解熱薬や鎮痛薬が含まれていることが多いので、薬を使用するときはぜんそくの治療を受けている医師によく相談して下さい。

アレルギーマーチ

Q1乳児期に保湿剤でスキンケアをすることが重要とのことですが、どういうお子さんがバリア機能が弱いと考えればよいでしょうか。

皮膚バリア機能が正常な赤ちゃんの肌は、モチモチして、肌がしっとりしたような状態です。逆に肌がカサカサと乾燥している、ひび割れている状態ではバリア機能が低下していると考えられます。

Q2自分がぜん息で、子供はぜん息はでていないがアトピー性皮膚炎です。現在1年生で、小さい頃から保湿剤を塗布しているが、継続していけば重症化は防げるのでしょうか。

アトピー性皮膚炎の重症度が高いお子さんほど、ぜん息を発症しやすく、既にぜん息になっているお子さんの場合、ぜん息も重症になりやすいことが知られています。一方で、ぜん息の発症や重症化には、ウイルス感染症や、受動喫煙、大気汚染なども影響します。アトピー性皮膚炎をきちんと治療することのみで、ぜん息の発症や重症化を予防できる訳ではありませんが、悪化因子を減らすことは重要です。
アトピー性皮膚炎による皮膚の症状が保湿剤でおされられているならば良いのですが、皮膚に炎症があるようでしたら、ステロイド軟膏など、皮膚の炎症を抑える治療をすることが重要です。

花粉-食物アレルギー症候群

Q1アレルギーマーチの話を聴いて、花粉症だと花粉-食物アレルギー症候群になったり、食物アレルギーも悪化するということが懸念されますが、どうでしょうか。

アレルギー疾患には、食物アレルギーやアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息など多くの疾患が存在します。これらの疾患は、乳幼児期にはアトピー性皮膚炎や食物アレルギーが出現し、その後気管支喘息、アレルギー性鼻炎と次々と年齢と共に変化していくことが多く、これをアレルギーマーチと呼びます。
他のアレルギー疾患をもっている人は、花粉-食物アレルギー症候群になりやすいということがわかっています。つまり、花粉-食物アレルギー症候群はアレルギーマーチのアレルギー症状と関連しています。

Q2花粉-食物アレルギー症候群になる人はどれくらいいますか?

 これまでの研究では、10人に1人の割合で花粉-食物アレルギー症候群が存在するといわれています。花粉症患者が増加していることから、花粉-食物アレルギー症候群も今後更に増加することが予想されます。 花粉-食物アレルギー症候群の有病率には地域差があります。シラカンバ花粉は花粉-食物アレルギー症候群の代表的な原因抗原です。シラカンバ花粉が多く生息している北海道では、シラカンバ花粉症患者の約40%の花粉-食物アレルギー症候群があると報告されています。また、欧州ではシラカンバ花粉症における花粉-食物アレルギー症候群合併頻度は70%との報告もあります。

スギ花粉症

Q1植物のセイタカアワダチソウは今現在のどのような扱いになっているでしょうか。

セイタカアワダチソウは秋になると、空き地や川辺にたくさん咲いています。実は、この花粉は虫媒花といって虫を介して受粉するタイプのものです。こちらは花粉の粒子が大きく、飛散してたくさんの人が曝露されるということは少ないものです。まったくないとは言えませんが、花粉症の原因としては多くないものです。花粉症の原因になるものは、風媒花といって風にのって飛散するため、より影響があります。ですが、セイタカアワダチソウの自生地域で鼻や眼の症状が出る人は、花粉症の可能性もありますので、その周辺を回避してほしいです。

Q2先生のお話からピーク時にマスクをしていればよいと感じますが、本当にマスクだけでいいでしょうか。薬は飲まなくてもよいのでしょうか。

アレルギー性鼻炎のガイドラインには5つの柱があり、その最初にあるのは原因物質の回避と除去です。2番目にあるのは、薬物療法です。花粉症のある人もない人も、マスクは大切です。しかし、花粉症を発症している人にはマスクだけでは不十分ですので、症状が出る人は薬の使用が必要です。

Q3最近、子供でも飲める花粉症の薬も多く市販されておりますが、市販薬の使用についてはどのようにお考えでしょうか。

市販薬は手軽に手に入るため、それが求めやすい場合にはドラッグストアなどで手に入れるとよいと思います。その際には、第2世代の抗ヒスタミン薬を選択すると、効果があって眠気が少ないということで、お勧めです。ただ、価格は医療機関で処方されるものより割高なので、医療機関への受診も選択肢に入れてはどうかと思います。

アメリカでの感染症の現状

Q1米国はワクチン無料ということですが、コロナになった方の治療薬についてはどうなのでしょうか。

米国でも今までは無料でしたが、抗ウィルス薬などの薬はこれから日本と同じように有料になっていきます。皆さんに今までと同じように届くかという懸念はあります。

Q2コロナのワクチンを接種しているとLong-COVID(後遺症)も少ないということですが、同じく抗ウィルス薬を飲んでいれば後遺症が少なくなるということも言われています。このことについて、どのように考えますか。

確かに抗ウィルス薬を飲んでいれば後遺症が少ないという研究があります。米国では、リスクの高い人にしか抗ウィルス薬を使用しておりませんので、軽症の人にはわかりませんが、研究結果には注目したいと思っております。